番組制作の基礎~ゆっこ氏に学ぶ~
このページは友人のゆっこ氏に書いていただきました。ありがとうございます。
ドキュメント編
制作の流れ
映像作品制作の流れは大まかに料理と同じです。
①レシピや調理法の考案(企画・構成・シナリオ制作)
✅主題選び。どこが「芯」かを明確にする。
②野菜や肉といった食材を集めてくる(撮影・取材・素材制作)
✅そこから何を学べたか?どう変わったか?意見の変化は?
③レシピに従い調理する(編集)
✅編集クオリティ<内容
「本当に伝えたいこと」は?
シロ(一切の編集をしていない素材)の活用
1.企画
番組制作で最も大事なのは構成ですが、土台となる大まかな企画がしっかりしていないとどんなにいい構成でもうまく立ちません。ですがここに時間を使いすぎても後々苦しくなるだけなので(時間があるに越したことはないのですが)企画では以下のことを決めます。
・what(テーマは?)
・who(テーマを追うのに誰の助けが必要か?誰が制作に関わるのか?)
・when(いつまでに?)
・where(どこで?)
・why(最終的な目標は?)
最低限ここまで決めます。
2.構成
構成は番組制作の要です。ここに一番時間をかけます。
まずテーマを確認し、そのテーマの「何を伝えたいのか。何を映すのか」を明確にします。この時、制作スタッフ全員がコンセプトを把握していることが大事です。
また、後にする取材とは別に事前にテーマについての知識を得ておくことも必要です。
一般的に構成というと「起承転結」や「序破急」などの形を取ると言われますが、過度に形式に囚われないことも重要です。伝えたいテーマを効率的に伝えられる形式を考えましょう。
3.シナリオ制作
シナリオ=脚本、と捉えている方が多いのですがシナリオの意味は「基本設計図」です。
・伝えたいテーマを正しく伝えている
・内容を効果的、魅力的に伝えられる
など、「あるべき姿を記述したもの」を制作します。
これを「予定稿」といい、事前調査を踏まえた上である程度想像で書かなければいけないものですが、内容の詳細を事前に決められないドキュメンタリーでは効率的に作業を進めるためにとても重要なことです。
また取材をしてから伝えたいことが変わる、思ったような成果が出なかったなどの問題に備え、後に起こりうる問題や今心配な点などを書き出しておきます。
テーマと事前調査によってはこの時にコンテ(場面のカット割り、構図、カメラワークなどを具体的に書いたもの)を考えることもできますが取材後の編集時に使う画を決める場合がほとんどだと思います。
4.撮影取材の事前準備
今までは制作スタッフ内で話し合い決めてきたと思いますが、とうとうスタッフ外の人たちが介入してきます。
失礼のないようアポイントメントを取り、有意義なインタビューにできるよう事前準備をします。
(詳細は下部のインタビューの技術と方法参照)
5.撮影・取材
伝えたいテーマを意識し、「伝えるためにはどんな画が必要なのか」を踏まえた上で撮影します。
映像が伝える情報を考え、「何を撮るべきか撮らないべきか」も考えなければいけません。制作者が見せたい対象物に集中させるような配慮も必要です。
撮影は編集者とカメラマンが同じだと編集時に繋ぎやすいカットなどがわかるのでやりやすいです。
(詳細は別枠のインタビューの技術と方法、カメラワーク用語参照)
6.編集
とうとう仕上げの段階に入ります。編集の善し悪しは映像の出来栄えを左右する大事な作業です。
撮ってきた映像を以下に生かせるか、伝えることができるか。カットを繋ぐ編集はシナリオで立てたとおりに行い、補正やテロップの挿入は味付けだということを心得て編集に臨みます。
(詳細は別枠インタビューの技術と方法参照)
ここまでの工程は長い時間が必要なように思われますが、スタッフ全員が情報を共有しつつ分担して臨めば難しいことではありません。もちろんこのサイトに書いたことが全てなわけではありませんので、スタッフ全員が基礎を勉強して理解し有意義な作品制作をしてください。
インタビューのアポイントメント
取材のアポ取りの流れ
(外部へ取材許可を取ることを想定する)
前置き:イオン、セブンイレブン等大手会社の支店は基本的に取材対象には出来ない。本社にアポを取れないところは大体ダメです。
ただし「取材対象がイオンなどで働いていて、その様子を撮る」時商品などが映ってしまった場合は著作権処理の紙を提出すれば大丈夫です。
1.アポの取り方
前置きを踏まえると取材が取れる場所は自然と「自営業」「消防署、警察署、市役所、区役所、公民館などの機関」「個人」に限られます。どこにアポを取るにせよ基本的に電話から入るのがスタンダードです。
サイトを見てサイトの最後の方にある電話番号に電話します。
サイトの電話番号から飛ぶとサイト管理をしているところに繋がることもあるのでその場合は取り次いでもらうか担当する場所の電話番号を教えてもらいます。
⚠警察署などは110すると通報になってしまうので、必ずサイトを見て04(地域によって異なりますが)番号を探しましょう。
⚠市役所、区役所の場合は電話するより直接担当の課を訪ねるのがベスト。そのために下調べはちゃんとしておきます。
⚠個人に電話でアポを取る場合、多くはサイト・パンフレットなどからだと思いますがその場合殆どが直接本人にかかるのでこれもおさえておきましょう。
2.アポを取る流れ
アポを取る時どのように話せばいいのか例としてあげておきます。
1、名乗る。
「〇〇高校放送部の❌❌と申します」
point:「放送部」と名乗る。
2、用件を手短に話し、電話口はあっているか確認する。
「放送部の大会のために☆☆さんの□□について取材させて頂きたいと思っているのですが、電話はこちらであっていますか?」→yes
3、用件の概要を詳しく話し取材許可を取る。(~は内容に応じて)
「先ほど話したように、総合文化祭という大会があり、その大会で~というテーマで~といった作品を作ります。そこで☆☆さんの□□について取材させていただきたいのですが、如何でしょうか」→yes
4、感謝を述べてから日時を決める。
「ありがとうございます。では早速ですが、取材に伺う日程を決めたいのですが◇◇日から◇◇日までの期間ならいつでしたらご都合がいいでしょうか」→じゃあ◇◇日で。
point:都合のいい日は期間を絞って聞く。
5、時間帯を決める。
「何時から伺えばいいですか?」→◇時で。
6、最終確認とその日何をするか、時間はどれくらい取るのか、行く人数を伝える。
「わかりました。では、◇◇日の◇時からこちらは何人で伺います。その日は~をしたいと考えています。大体◇時間ほどを予定しています」→わかりました。
point:一番はじめは今後の流れや取材の日程を確認する日にした方が良い。(何回か取材に行く場合)その日にある程度の人間関係を作っておく。
予め時間を伝えておくことで向こうのスケジュールが立てやすいように配慮する。
7、電話を切る。
「お忙しい中ありがとうございます。その日にお伺いしますのでよろしくお願いいたします」→はい、お待ちしています。
「失礼します」
point:最後はきちんと締める。
3.話す時の注意
・はっきり話す。
・緊張等でいつもより早口になることが多いのでいつもの倍ゆっくり話す事を心がける。
・明るめの声で元気に。
・えーと、はなるべく言わない。
・用件は簡潔に、専門語や略語は使わない。
・一文はなるべく短く。「です」「ます」で言い切る。
・間は相手を落ち着かせる。相手のレスポンスをしっかり待つ。また自分が返事をする時も少し間を置いてから話す。ただしテンポ良く。
・とにかく自分が落ち着いて話すこと。事前に話すことリストを作っておくのも良い。
・正しい敬語で失礼のないように。
・過度な敬語は使わない。逆に相手を萎縮させます。
ファーストコンタクトは大事です。自分が電話を受ける立場だった時、会いたいな、信頼出来るなと思うような受け答えを目指しましょう。